◦ツアーお疲れさんでした! 最高だったよ。それぞれどうだった?
ホリエアツシ「このツアーは、ストレイテナーにとっては、ほんとにありがたい機会で。僕の純粋な気持ちとしては、やっぱりエルレが復活してから、どっかで一緒にやりたいって思ってたんですけど、どう転がっていくかもわからないし、近くで見守ってたら、これをやろうっていう話になって。で、もう絶対実現したいと思って、俺たちのツアーなんてどうでもいいから(笑)、スケジュールを2バンドに合わせるからって言って。なんとか横アリをもぎ取れて、ツアーができて良かったっていう。まあライブは、この2バンドとやるっていうのはすごいハードルが高いんで、めちゃくちゃ全力以上のものを出しきって頑張りました」
◦すげえチャレンジングなセットリストだったじゃないですか。
ホリエ「そんなことないっすよ! あれが今のベストです。なんか、懐かしんでるだけではあれだと思って。だってエルレの去年の(ZOZO)マリンスタジアムのライブを観て、懐かしいっていうより、今の感覚ですげえかっこいいと思ったんで、ストレイテナーも今のベストで勝負したかったっていう」
後藤正文「そうだよね。『ELEVEN FIRE CRACKERS』とかは、今も最先端のロックに聴こえるっていうかさ」
ホリエ「また、俺、当時はあんまり歌詞に興味がなかったんだけど、自分が歳をとって、今ELLEGARDENの頃の細美くんの結構ストレートな歌詞を聴くと、ビンビンに感動するわけ(笑)」
後藤「当時してなかったの? 俺は泣きかけてたよ、ずっと」
ホリエ「ほんと? いや、当時の俺はクサいと思ってたんだよ、ちょっと」
細美武士「でもね、それすげえよく言われてた。まだ、言っても20代とかだったじゃん。その頃のまわりの大人とかにはさ、おまえらメジャーでやれないみたいなこと言われたことあって」
後藤「えー」
細美「メジャーってどうなんですかって聞いたら、たぶん作詞家を入れられておまえの詞を変えられるって」
後藤「ほんとに?」
細美「あ、そうなんだって思った。だから、歌詞については言われてたよ」
ホリエ「でもさ、世代的には青春パンクとか頑張れソングみたいなのはあったけど、そうではない、ちょっと陰のある、でも直球なメッセージだったから。俺にはまだその頃、陰がなかったんだと思う(笑)」
細美「トンガってた」
ホリエ「そうそう。トンガってはいたんだけど」
後藤「いちばん斜に構えてたからね、実は」
ホリエ「そうそう。いちばん斜に構えてた。恥ずかしい」
細美「いやいや、そんなことはない。あの感じ、俺はすごい好きだったよ。等身大の歌詞とか勘弁してほしいんですって言ってて。で、当時の俺は等身大の歌詞がいいって評価されてたから、俺の歌詞とか嫌いだろうなと思ってた」
ホリエ「初めて会った時にその話をして。エルレの対バンに呼んでもらって挨拶した時に、いや、おっかねえなと思ってたんだよね、みたいな」
後藤「へえ」
細美「まあ、今の時代より昔のほうがバンドってそんな仲良くなかったじゃないですか。あいつら何がいいんだよみたいな感じで」
◦文字通り対バンだったもんね。
細美「そう。でも話してみるとすごい、あれ、と思って。全然喋れるなと」 ホリエ「当時のバンドのシーンのなかではいちばん近かったですよ、この3バンドが」 細美「まわりは日本語青春パンクばっかりで」 後藤「確かに」 ホリエ「で、AIR JAM世代っていうか、AIR JAMの影響を受けた世代が僕らの世代なんで。AIR JAMの人たちはもっとより洋楽っぽいっていうか、スカとかそういうのをやっていたし。でもエルレは最初のオルタナティブなロックから、ちょっとパンクを」 細美「吸収していった。メロディックパンク、まあドライヴ・スルー・レコーズのバンドと出会ったりした影響も大きかった、たぶん」 ホリエ「でも半分の歌詞は日本語だから、そこも親和性あったし」 後藤「“ジターバグ”とか当時めちゃ感動したけどね。超歌詞いいなと思って」 細美「へえ」 ホリエ「俺、“ジターバグ”の歌詞に感動したのは去年」 後藤「マジで!?(笑) 最近じゃん」 ホリエ「去年もうむちゃくちゃ感動したもん。いや、昔から好きだけど、去年、今までの100倍ぐらい感動した(笑)」 細美「あはははは! 良かった」 ◦それ、ホリエくんが変わってきたってことなんじゃないの?
ホリエ「僕が変わりました。僕が成長したんです」 ◦テナーは歌詞が、昔より全然エモくなってるもんね。
ホリエ「で、アジカンも、メロディはちょっと和があったけど、それってeas
tern youthとかNUMBER GIRLとか好きだから、そういうものが入っていただけで、ベースはたぶん近いっていうか一緒だと思ってて。だから、この3バンドは親和性があって、たまたまじゃないっていうか、ちゃんとお互い惹かれ合っていた。他に好きなバンドも、そんなにいなかったから」 ◦そうか。いや、そもそもなんでこの3バンドが、っていうところもあとから訊こうかなと思ってたんだけど、そういうことなんだね、じゃあね。
後藤「でも、ちょっとずつ違うよね」 細美「そう。似すぎてないっていうか。まったく同じようなことをやってるバンドでつるんでる連中もいるけど、そういう感じではなかったですね、俺たちは。お互いやっぱり、それぞれの持ってるストロングポイントが違うから尊敬し合えたっていうか」 ホリエ「村じゃなかったもんね」 細美「うん、そうだね」 ホリエ「村から飛び出た奴らだよね、たぶんね。村に馴染めなかった」 後藤「当時、細美くんが、無用につるんでるわけじゃねえよってMCで言ってたけどね(笑)」 細美「いや、当時のアジカンは……俺はさ、“君という花”を聴いたらイントロがミュートのコードバッキングで、ズンズンズンズンっていう……ああいう音楽に出会ったことがなかったから、衝撃で。で、実際に会ってみたらさ、めちゃめちゃトンガってるじゃん」 後藤「ははは! そうだった?」 細美「ほんとにもう感情むき出しのさ、デカダンな人間がいるなと」 後藤「(笑)」 細美「フィジカルはそんな強くないから(笑)、横で俺、頑張ろうかなって思った時がほんとにあって。だから、ゴッチが水戸黄門で、俺は助さん格さんくらいの気分だった時期もあった(笑)」 ◦たまたまこのツアーをやったっていうだけじゃなくて、この3バンドの特別な結びつきみたいなのも、当時やっぱ意識してたの?
ホリエ「おそらく3バンドとも、くすぶってた時期はあったと思うんですけど、なんかノり始めたのが一緒で」 後藤「ああ、そうかも」 ホリエ「で、3バンドとも飛ぶ鳥を落とすほどかどうかわかんないですけど、勢いがあったんです」 細美「あったあった」 後藤「そうだよねえ」 ホリエ「で、そういう頃に、ちゃんとお互い本人同士で出会って、マインドがすごく共感し合えたと思います」 後藤「確かに」 細美「外からもそういうふうに見えてたんじゃないかなと思いますけどね。自分たちで言うのは変かもしれないけど、よく御三家って言われたからね」 ホリエ「だからファンからは、アジカンと対バンしてほしいとか、エルレと対バンしてほしいって言われてたんですよ。まだお客さんが100人もいない頃、(下北沢)SHELTERでワンマンするよりも前の時期でしたけど」 ◦じゃあめっちゃ幸福だね。外からもちゃんとそういうふうに見えるし、自分たちでも結びつきを肯定できるっていうのは。一緒にされたくねえよ、みたいなのもあったりするじゃん。
細美「まあ、我々は全然キャラが違うのに仲良かったね」 後藤「確かに。キャラは全然違うのに、面白いよね。シンパシーを感じるのは」 ホリエ「その頃、自分たちの数少ないファンから、あのバンドと対バンして下さいって言われたのは、いちばん多かったかもしれないですね、エルレとアジカンが。それでエルレは、タワレコ行って 『My Own Destruction』試聴して、ヤバッと思って」 細美「そうか。あれ聴いてくれたんだ」 後藤「俺、その前のやつ(『DON'T TRUST ANYONE BUT US』)、すっげえ覚えてる。横浜のタワレコでプッシュされてたから。アジカンの『崩壊アンプリファー』は、(地元の)横浜なのに2枚ぐらいしか置いてなくて、すげえショックで」 ホリエ「(メジャーデビュー前の)アンダーフラワー(レコード)時代のね」 後藤「そう。そこでエルレを知って」 細美「でも、あの頃はたいして売れてないけどなあ」 後藤「でも、がっちりインディーコーナーの試聴機に入ってたよ」 細美「たまたまそのお店のバイヤーさんの琴線に触れてただけだと思う。俺が(地元の)千葉タワーに行った時は、Eのところに縦に1枚入ってた」 後藤「あー、でもそれ同じだったわ(笑)」 細美「出たばっかりなのに(面出しじゃなく)縦に置いてあった」 後藤「でも、その頃に友だちのバンドが、今日(渋谷)CYCLONEでELLE
GARDENってバンドが出てるんだよ、ちょっと観てくるって行って、帰ってきて、ほんと最高、すべての穴という穴から汁が出るぐらい良かったって言ってた(笑)。だから、そんないいんだ!って」 細美「まああの頃は客も大暴れだったから。水着で水泳帽を被ってステージに上がってきて、そのまま客席に文字通り飛び込む奴とかいて(笑)」 ◦ゴッチは、今回のツアーどうだった?
後藤「すげえ楽しかったっすね。2バンドともかっこいいからね、刺激になるっていうか。対バンの感覚を忘れてたんだけど、あ、これは対バンなんだ、みたいな。ふたりとも、そういう感じのオラオラのMCだったから(笑)。俺、ほのぼのとして来ちゃったと思って」 ホリエ「わかるよ。ゴッチはほのぼのとして来てた。アジカンのライブなんて全然緊張しないって言ってたもんね」 後藤「うん。だってエルレが観られるのが超嬉しくて。普通にファンだしさ。まあ(復活してから)フジ(ロック)でやっと観れたけど、それまでは全然スケジュール合わなくて観れなかったから。このツアーも、3公演、堪能するわーとか思ってた」 ◦どうだった? 3回やって。
後藤「いやあ、良かったっすよ。(エルレのライブも)フジロックよりはっきりと良かったから」 細美「(笑)」 後藤「どんどん研ぎ澄まされてる感じがわかるっていうか。あ、もう完全に『おかえり』でしょ、みたいな。別に、明日も千葉LOOKでやりますとか言っても全然驚かないぐらい(笑)、あん時のエルレじゃん、みたいな。それに、俺なんか、当時ね、エルレが止まってしまったことがわかるっていうか。やっぱね、あんなアルバムつくったら終わるわっていうぐらいすごいもんだったから。本人にも言ったけど、時空も超えちゃって、フー・ファイターズの往年の名曲を聴いてる感じ。色褪せないやつがバンバンやられてるみたいな」 ◦『ELEVEN FIRE CRACKERS』のことだよね。
後藤「そう。“Fire Cracker”のイントロとか、めちゃすごいと思って。今聴いても、今新曲で出ても、絶対トップに入ると思うぐらいすごい。だから、何年も先に時代を背負ったままつんのめってったんだなあみたいな。だから当時ね、俺、すっげえなんかね、悲しいっていうか辛かったんですよ。そのあとに組んだバンドが、the HIATUSって名前だし。なんかもう、傷だらけのまま、まだ行く?みたいな。この人からELLEGARDENを取り上げないでくれよ!ってずっと思ってたから。でも、やっぱ何がすげえって、やるバンドやるバンド、全部デッカいステージでやるっていう。疑いようがねえな、みたいな。それくらい俺は大ファンなんだけど、ちゃんとおかえりって思えたのが嬉しい。おお、新曲くれよ!みたいな。でも、友だちとしては、いっちゃんそれがムズいっていうのもよくわかるから、迂闊には言えないよねっていう気持ちもあるし。でも、すげえ、なんか感動っていうか」 ◦エルレが復活してから、単独で観るエルレもそれはそれでやっぱりすごいなと思ったし、フジロックで観るエルレも感動的だったんだけど、この対バンで観るエルレってさ、むちゃくちゃエモかった。ほんと戻ってきたって感じで、いちばんしっくりきたよ。
後藤「ストレイテナーも、すごい変わったっていうのが、聴いててよくわかって。この人たちがいちばん、Jポップみたいなとこと向き合ったのかなっていうのがすごいわかるっていうか」 ◦はっきり言うね。
後藤「いや、絶対そっちに砕いてったのがわかる。でもその戦いも、俺にはできないことだからすげえなと思って。“廃墟の記憶”って曲に書いたように、映画のことを歌ったみたいな曲しか書かなかった人が、めちゃくちゃ言葉を開いていった歴史があるから。まざまざとスクリーンに映されてる歌詞を見てましたけど、あんな歌詞、昔は書かなかった。いっちゃん書かなかったやつでしょっていう。 “吉祥寺”とかもそうだけど、はっきりちゃんと書くようになってるっていうふうに思う」 細美「いや、やっぱああいうのは胸を打つよ」 ホリエ「うん。ただね、俺はもう40を過ぎたから、過去を振り返ったり、回想、記憶を元に書くことはできるけど、今の自分として、若い頃に細美くんが書いたような詞を書くことはできないから。それがもう、憧れでしかない」 ◦なるほどね。
ホリエ「“金星”の歌詞とかさ……“金星”、大阪で一緒にやったんですけど」 細美「よくね、エルレの活動休止中も一緒に歌ってくれてたから、“金星”は」 ホリエ「うん。弾き語りとかで一緒になると歌ってるんですけど」 ◦でも、今のテナーのそういうストレートな歌詞がいいものに聴こえるっていうのは、長年の蓄積とかさ、信頼があるからだよね。
ホリエ「だってアジカンだってさ、“遥か彼方”、今日一緒に歌ったけど、歌詞見たら何が言いたいのか全然わからなくて。で、挙げ句、1番と2番の歌詞が一緒だし。洋楽好きすぎちゃうバンドは、日本語になってもそこまで考えてなかった時代っていうか」 ◦『君繋ファイブエム』とかねえ、何言ってるのかわかんないもんね。
後藤「俺が今ディレクターなら引っ叩くわみたいなね(笑)」 細美「でも俺は『君繋(ファイブエム)』、好きだけどね」 後藤「あ、ほんとに?」 細美「当時って、今から振り返ると5メガですごかったんだっていう感じじゃん。今、ギガだけどさ」 後藤「あれ5メートルだけど(笑)」 ホリエ「はははは。理解されてないもん、やっぱり」 後藤「でも歌詞のことでいうと、この先さ、ホリエくんがあれだよ? シビれる恋したら歌にできるじゃん」 ホリエ「それは気持ち悪いでしょ」 後藤「気持ち悪くはないよ」 細美「全然気持ち悪くないと思う」 ◦細美くんはどうでしたか? 今回のツアー。
細美「うーん、どうなんだろうな。もちろんすごい楽しかったし、この3バンドでこのツアーができたことはすごく嬉しいんだけど。すごいたくさんの人たちが観にきてくれてたから、あの人たちにとってどういうツアーだったのかなっていうのは、これからになんないとわかんないんで。だから、そこが俺、知りたいなっていうか」 ホリエ「それ次第」 細美「いや、来てくれた人たちが楽しかったからいいツアーとかってことではないんだけど。まあ終わっちゃったんで。基本的に俺がやることっていうのは、ひとつひとつ全力で、どの音も本気で鳴らすし、歌詞も本気で歌うっていう。で、それはできたから。このツアーが楽しかったのも、もちろんわかってる。俺たちの友情が本物だってことも、今さらわかってる。で、いいライブできたってこともわかってるんだけど、今、俺が知らないことは、あの来てた人たちはどうだったのかなってことだけなんで、どっかで知りたいなっていう気分ですね」 後藤「それは、続けてったらわかる気もするけどね」 細美「なのかなあ」 ホリエ「これがはじまりの人たちもいるわけでさ」 細美「うん、初めて観た人たち、結構俺いると思うんだよ。エルレのファンって。やっぱ10年で止まってたから」 ホリエ「さらに言うとさ、ELLEGA
RDENを初めて観たいがために、このツアーに来て、アジカンとストレイテナーを初めて観た人もめちゃくちゃいるわけじゃん。俺たちがずっと続けていたからといって観たことなかった人とも、エルレを介してここで出会えたっていう」 細美「逆もあるよ。言ったら、テナーとアジカンはずっと走ってきたバンドだから、やっぱ10年も止まってるバンドのことをさ、本気で待ってくれてた人たちじゃない人たちはさ、そもそもELLEGARDENが記憶からも消えてたりもするし。そういうふうに、アジカンとテナーがやるんだってワクワクして、エルレも懐かしいねぐらいの気持ちで来てた人たちも、もちろんいるわけじゃん。その人たちの記憶のなかの俺たちっていうのはさ、もはや当時の俺たちとズレもすごいあると思うし。だから、俺はそういう意味も全部ひっくるめて、この3バンドでライブやるなら……たとえばELLEGARDENって10年止まってたから、お父さんお母さんがずっとクルマのなかで流していたのを聴いていて、当時小学生だったんですけど大好きで、今大学生なんだけど初めてライブに来ましたっていう人も、結構いるわけよ。で、しかもお金払って来てくれたわけでしょ。だから、すごいものを観たっていう……どのバンドとどのバンドが仲良かったとかじゃなくて、すげえどのバンドもむちゃくちゃかっこよかったみたいなことをやらないと気が済まないっていうのは、最初から思ってた。だから、これがそういう人たちにどういうふうに届いたのかなっていうのは、別にリサーチとかっていうのじゃないけど、俺たちがちゃんと自分たちのやるべき仕事ができたのかなっていうのは、今もちょっと、不安といえば不安」 ◦俺、客として観る立場だったし、3人よりも客観的な立場だったけど、そういう意味ではほんとに理想的な対バンになってたと思う。ELLEGARDENを久しぶりに観られる貴重な機会っていうだけでもなかったし、仲間が集まってなんかあったかいムードでやってる祭りっていうだけでもなくて、ちゃんと対バンだった。だからきっと、いろんな思い入れをそれぞれのバンドに持ってる人たちが、みんなそれぞれのバンドからしっかりパワーを受け取るみたいな場だったと思う。昔、3バンドでやった時もそうだったんだろうなって容易に想像がつくっていうかな、超そういう感じだった。
後藤「エルレも別に懐かしいって感じじゃなかったよね。みんなそれぞれが10年、15年、ガチッとやってきたのが、そのまま出ちゃってるから」 ◦このツアー、またやるって言ってたよね。
細美「いや、うん」 後藤「やりたいっすね」 ホリエ「エルレはでも小箱でやるって言ってるもんね」 細美「なんかさ、もともと俺たちはさ、生息地域がライブハウスだから」 後藤「確かに、うん」 細美「ここ2年間は再結成フィーバーみたいなもので、逆に言ったら小っちゃいとこでやったら怒られるっていう状況があったから、まずは大きいところでただいまをしなきゃいけないなと思ってたんだけど。俺たちはもう最初からとっととライブハウスに戻りてえって気持ちでやってるんで。デカいところでやりたいって1回も思ったことないからさ、俺たち。なので、今回のNANA-IROが終わって、ようやくこれで……まだ(復活してから)九州だけは大きいとこでやってないから、もしかしたらやるかもしれないし、フェスは当面は大きいところで呼んでもらったりするかもしれないから、そういうところはやるけれども、自分たちで打っていくライブとしては、だんだんと本来の自分たちの棲む場所に戻っていくと思う。というか、一刻も早くそこに戻りたいなという感覚は持ってやっているので。だから、NANA-IROをまたやるんであれば……まあ、大きいところがあってもいいですよ、ファイナルがすごい大きいとことか。それでもいいんだけど、俺たちのわがままにも付き合ってもらって、小さいとこもやりてえなって。小さいところでしかないものっていうのは……もちろん俺はMONOEYESもthe HIATUSでもやっているけども、あそこにしかないものは、やっぱり大事にしていきたいな。で、ゴッチ、こないだ石巻のさ、ブルレジ(ブルーレジスタンス)行ったでしょ。俺あん時のライブをずっと観てたけど、ライブハウスやっぱりいいなって。ゴッチのMCが……はっきり覚えてないから、どっか間違えてたら訂正してほしいんですけど、なんとなく俺たちはそうじゃない方向へ舵を切って進んできた側面は絶対あるんだけど、でも、今日ここでライブをやってみて、ああ、俺たちはもともとここにいたんだっていうのを感じたみたいなことを言っていて。俺はそれを聞いた時に……ごめんね上からで、おお、わかってんじゃんと思った(笑)。だから、そういうところで……チケットの倍率が高くなるとかいうのはもちろんあるかもしれないけど、でも、観たい人が多いなら、どんどんサイズをデカくするしかないっていうわけじゃないって俺はずっと思ってて。エルレがいちばん人気ある時でもカウントダウン・ジャパンで山崎さんに狭いとこでやらしてくれとか言ったんだけど。それはなんでかっていうと、ある一定のキャパシティを超えると、失われるものがたくさんあるから」 後藤「わかる」 細美「俺はそっちには行きたくないって言って生きていくのは別に俺の勝手だろって思ってるわけ。産業の一部じゃねえんだから」 後藤「うん、そうだね」 細美「そう。だから次、NANA-IROやる時は、1ヶ所でいいからライブハウスを入れてほしいなっていう。今回は逆に、俺たちがまだちゃんとただいまできてない人が多いから、デカいところでやらしてくれって言ったんですけど。次やる時は、汗だくでガッチャガチャでやりたいなって思いが、ELLE
GARDENとしてはありますね」